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中国は人民元建ての原油先物を3月26日に上場することを中国証券監督管理委員会(証監会)が発表(9日)
2018-02-13
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中国は米国を上回る世界最大の原油輸入国で、自国の需要動向を国際価格に反映させる事をめざす。中国の先物市場として初めて外国人の参加も認める。上海先物取引所傘下の「上海国際エネルギー取引所」に上場する。
取引は中東産原油を対象とし、米国のWTIや欧州の北海ブレントが国際指標となっている現状に対抗する狙い。EIA(米エネルギー情報局)によると中国の2017年の原油の輸入量は日量840万バレルで、790万バレルの米国を初めて上回った。
原油の輸入元は中東やアフリカ、ロシアなどに偏る。対象を中東産にする事で、価格変動リスクをより回避しやすくなる。現物の受け渡しも可能とし、海外の資源メジャーや実需家などの取引を引寄せる。海外企業が直接、取引に参加する事も認める。中国が商品先物取引を外国人に認めるのは初めて。海外投資家による取引を拡大してきた株式に続く大規模な規制緩和となる。一連の制度整備を通じ、中国は原油先物を中長期的に国際指標の一角に育成する。元の国際化に役立てたいとの思惑もある。中国の原油先物が指標として存在感を増せば、元建てでの価格が日々、多くの需要家や投資家の目に触れることになる。中国はロシアなどとの資源取引を拡大し、元建ての決済を増やそうとしている。但し、中国の原油先物が定着するまでの道のりは遠い。
投資対象が限られる中国では、株式や不動産などが投機の対象となってきた。中国の商品先物市場は個人の取引が主体で、実需を反映しない投機的な値動きをする事も珍しくない。上場した原油先物の価格が乱高下すれば、国内経済を混乱させかねない。中国は2015年以降、人民元取引の規制を強化してきた。外貨への両替や、国境をまたぐ資金のやり取りに制限が大きい現状では、中国の原油先物が海外でも存在感を持つとは考えにくい。